貯血式自己血輸血に関するQ&A
日本自己血輸血学会保険委員会編集
お問い合わせ先(mail):info@jsat.jp
Q1:予定手術に対し自己血貯血を行なったが,手術が中止となった。この場合の自己血輸血料の算定は?
A1:自己血輸血料は算定できないが,自己血貯血料は算定できる。
平成18年度保険改定で貯血料が新設され,輸血の有無に関わらず,自己血貯血料は算定できることになった。
Q2:手術の2-3日後に自己血輸血を行った。この場合の自己血の算定は可能か?
A2:算定できる。
平成18年度保険改定で自己血輸血は「手術に伴い輸血を行ったときに算定できる。」から「手術時及び手術後3日以内に輸血を行ったときに算定できる。」と改定された。
Q3:1回目に400mL採血し,1週後に400mLを戻し輸血した後800 mLの採血を行った。この時点で,1,200mLの自己血貯血料の算定と400mLの自己血輸血料の算定は可能か?
A3:自己血貯血料は800 mLしか認められない。自己血輸血料は認められない。
自己血輸血料は手術時及び手術後3日以内に輸血を行ったときに算定できる。
Q4:外来で貯血を行ったのでエリスロポエチン(以下,rEPO)は外来の薬剤料として請求したが,認められるか?
A4:外来の薬剤料として認められる。
平成18年度保険改定により,外来でrEPOを使用し貯血を行った場合にも,rEPOの薬剤料は貯血料とともに請求する。なお,rEPO薬剤料は診療報酬明細書の50番(手術の項)で,注射手技料(外来のみ)は30番(注射の項)で請求する。(注射手技料は,外来で使用した場合のみ請求できる。)
Q5:rEPOを併用し800mLの自己血貯血を行ったが,手術がやむを得ない理由から中止になり,自己血輸血を行わなかった。この場合のrEPOの算定は認められるか?
A5:認められる。
貯血の際に使用したrEPOは,輸血の実施の有無に関わらず,自己血貯血時に薬剤料として算定する。この事例の場合,rEPOの薬剤料は,貯血した月に貯血料とともに請求する。
Q6:1,200mLの貯血に際し,エスポ−24000Ⓡ3本皮下注あるいはエポジン6000Ⓡ9本静注したが,手術時出血量が少なく400mLしか輸血しなかった。rEPOの薬剤料はすべて認められるか?
A6:輸血するしないにかかわらず,すべて認められる。
従来の通知「自己血輸血を実施した場合についてのみ,本剤に係る薬剤料の請求が認められるものである」が,平成18年度保険改定により廃止されたためである。
Q7:貧血や低体重の関節リウマチ患者などで1週間に200mLしか貯血できない場合のrEPOの算定は?
A7:1回に200mLの貯血しかできなかった医学的理由を摘要欄に詳記すれば認められることが多い。
1回に200mLの貯血を行い800mLの貯血のために4週間の貯血期間を要する場合は,4週間分のrEPOが認められる。ただし,その場合には低用量のrEPO(エスポ−12000Ⓡなど)を使用すべきである。
Q8:体重75kgで貯血前のHb値が13.8g/dLの患者に対し,自己血を800mL貯血しすべて手術時に輸血したが,rEPOがすべて査定された。理由は?
A8:通知で「保険請求が認められるのは,貯血開始前のHb濃度が,体重70kg以上では13g/dl以下,体重70kg未満の場合は14g/dl以下の患者へ投与する場合に限られるものであること。」とされていることから,この事例でのrEPOの算定は認められない。
Q9:3歳の患者(体重12kg)から,rEPOを併用し1回に50mL(体重1kgにつき4mL相当)ずつ,4週間に合計200mLを貯血した。この患者の200mLは成人では800mLに相当するが,この場合のrEPOの算定は?
A9:現時点では認められない。
@ 小児に対して臨床試験が行われなかった。
A rEPOの用法・用量に「貯血量が800mL以上」と明記されている。
(文責:脇本信博)
自己血貯血に伴うエリスロポエチン算定に関する留意点
日本自己血輸血学会 理事長
日本輸血・細胞治療学会 特任理事・保険委員
脇本信博
お問い合わせ先(mail):info@jsat.jp
平成18年度の保険改定で自己血貯血料が認められ,それに伴い自己血輸血を行わない場合でもエリスロポエチンの算定が認められることになりました。ところが,その際,厚生労働省から「自己血貯血に伴うエリスロポエチンは注射の項で算定すること」という事務連絡がだされたため,DPC算定患者においては入院で行った自己血貯血に伴うエリスロポエチンは包括され算定できませんでした。
今回,平成20年度の保険改定にあたり,上記事務連絡の変更を厚生労働省にお願いしてきました。その結果,平成20年5月9日に厚労省保険局医療課から下記の疑義解釈が発出され,「DPC算定患者においても,入院で行った自己血貯血に伴うエリスロポエチンは自己血貯血(K920「3」)に伴うK940の薬剤として算定できる」ことになりました。
また,平成20年3月5日の下記通知により,エリスロポエチンは手術(自己血貯血)に伴う薬剤にもかかわらず注射手技料が認められることになりました。
以下,保険改定に伴う留意点および具体的な事例をお知らせしますので,保険診療の際の参考としていただければ幸いです。なお,今後は,合併症のある高齢者など外来での貯血に問題がある場合には,入院での貯血も考慮いただければ幸いです。
1.平成20年度に発出された通知と疑義解釈
1)保医発0305001号(平成20年3月5日)
(1)第10部 手術<通則4>
手術当日に,手術(自己血貯血を除く。)に関連して行う処置(ギプスを除く。)の費用及び注射の手技料は,術前,術後にかかわらず算定できない(一部,省略)。
(2)第2節 輸血料
(19)なお,自己血の採血に伴うエリスロポエチンに係る第2章第6部第1款注射実施料については,自己血貯血の所定点数とは別に算定する(一部,省略)。
2)疑義解釈(平成20年5月9日)
(問54) 自己血貯血を行った際のエリスロポエチンの薬剤料は,どのように算定するのか。
(答) 自己血貯血に伴う薬剤料であり,K940の薬剤として算定する。
2.留意事項
保険算定に当たっては以下の留意事項に注意すること。なお,留意事項1)-3)は日本自己血輸血学会から厚生労働省に照会した結果をもとに作成したものである。
1) 入院中の患者に自己血貯血に伴いエリスロポエチンを投与した場合の算定
K940の薬剤として手術の項で算定する。
2) 外来患者に自己血貯血に伴いエリスロポエチンを投与した場合の算定
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自己血貯血と同一日にエリスロポエチンを投与した場合
エリスロポエチンの薬剤料はK940の薬剤として手術の項で算定し,注射実施料は注射の項で算定する。
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初回採血1週前など自己血貯血と異なる日にエリスロポエチンを投与した場合
エリスロポエチンの薬剤料及び注射実施料を注射の項で算定する。
注意1:注射実施料はG000皮内,皮下及び筋肉内注射あるいはG001静脈内注射の注射手技料を指す(外来患者のみ算定可)。
注意2:「初回自己血貯血前からの投与」の適応はエスポー®のみあり。
3) 自己血貯血に当たり複数回にわたりエリスロポエチン製剤の注射を行う場合の留意点
最終回以外の注射にあっては予定している貯血量を,最終回の注射にあっては最終貯血量を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
4) 自己血貯血を行った場合の保険算定上の取り扱い(平成18年度の保医発第0330006号により,従来通り,以下の事項を「診療報酬明細書の摘要」欄に記載する)(文末参照)
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貯血量
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手術予定日:自己血貯血を入院外で行った場合又は自己血貯血を行った日が属する月
と手術予定日が属する月とが異なる場合に記載する。
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患者の体重:6歳未満の患者に対して自己血貯血を行った場合に記載する。
5) エリスロポエチン保険算定上の取り扱い(平成18年度の保医発第0329003号により,従来通り,遵守しなければならない)(文末参照)
· 本剤の効能・効果
貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行患者の自己血貯血
· 保険適用上の取扱い
保険請求が認められるのは,貯血開始前のHb(ヘモグロビン)濃度が,体重70kg以上の場合は13g/dl以下,体重70kg未満の場合は14g/dl以下の患者へ投与する場合に限られるものであること(筆者注:エスポー®は13g/dl未満の患者では初回採血1週前から投与可)。
· 請求上の取扱い
診療報酬明細書の摘要欄には,貯血量,本剤を投与する前の患者の体重及びHb濃度を記載すること。
3.具体例(以下の対象患者はすべて6歳以上の患者とする)
入院診療報酬請求についてはDPC算定患者と非算定患者は同一である。
事例1:外来で貯血後,入院で手術・輸血
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7月外来で自己血貯血400mL(エリスロポエチン製剤を使用)。8月外来で自己血貯血400mL(エリスロポエチン製剤を使用)。8月入院後に手術を実施。手術時に自己血800mLを輸血。 |
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算定事項 |
摘要欄記載事項 |
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30番(注射の項) |
50番(手術の項) |
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7月外来診療報酬請求 |
注射実施料 |
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薬剤料(エリスロポエチン製剤) |
予定貯血量800mL エリスロポエチン製剤投与前の患者の体重及びHb濃度 |
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自己血貯血料400mL |
貯血量400mL,手術予定日 |
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8月外来診療報酬請求 |
注射実施料 |
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